新規事業の足跡

機設部のクロニクル

長年の文具生産で獲得した自動化設備、ロボット、金型などの設計・開発技術を活かした生産設備を構築。

サインペン製造での教訓を踏まえ、生産設備の自社開発の道へ…

1963年に発売し、ぺんてる成長のトリガーとなり、現在も皆様に愛されているヒット商品が「ぺんてるサインペン」です。8年もの歳月をかけて開発された携帯用水性サインペンは、当初国内での販売は芳しくなかったものの、米国の見本市で配布された1本のペンが当時のジョンソン大統領の目に留まり、これが報道されると一気に注文が殺到するようになりました。
しかし、当時のサインペンはすべて手作りであったため注文に応じきれず、当時のぺんてるは生産ラインの自動化技術を保有していなかったため、やむなく生産ラインの構築を外部委託しました。ところが、この件によりサインペンの製造ノウハウが外部に流出し、大量の類似品が出回るという事態を招くことになります。この苦い経験を教訓に、ぺんてるでは自社での生産ライン自動化技術の確立の必要性を認識し、以後、「自社製品は自社製設備で」というポリシーを貫くと同時に、独自開発した生産技術や設備・システムの外販ビジネスにも乗り出しました。

発売当時のぺんてるサインペン

世界初の実用化に成功。水平多関節(スカラ)ロボット「PUHA」の誕生

シャープペンシルの先端部で芯先を固定する「戻り止め」は、シャープペンシルの重要な機構です。この「戻り止め」をペン先に挿入する「シャープペンシル組立機」に、1981年、機設部が独自開発し、世界初の実用化に成功したスカラロボット「PUHA」を搭載。それまで30人が手作業で行っていた工程を完全自動化したというニュースは大きな反響を呼び、1982年からはスカラロボットの外販を開始しました。

シャープペンシルの戻り止め

開発した初代PUHA

PUHAを搭載した
シャープペンシルの組立機

微細加工が要求される樹脂成形用金型の設計・製作にも挑戦

機設部では、生産の自動化機器はもちろん、文具の樹脂成形用金型の設計・製作にも挑んでいました。シャープペンシルの芯を送る機構である「樹脂製チャック」、水性ペンの「樹脂製ジャバラ」、「透明キャップ」は、文具業界初のPET樹脂成形品です。これらの成形品にはミクロンオーダーの微細加工が求められ、その実現のために私たちは金型の設計・製作に関する数多くの技術やノウハウを得てきました。
こうして確立した独自の金型技術、成形技術は、現在、文具だけではなく他の製品分野にも応用されています。

「パチン」と音がしてはまる透明なキャップ のついたボールペン。
(ぺんてる製ハイブリッドボールペン)

独自技術の集約により誕生した「インサート成形システム」

これまで培ってきたロボット技術、自動化技術、金型技術、成形技術の集大成が1985年に開発した「自動インサート成形システム」です。これは金属部品などの金型へのインサートを自動化し、24時間連続稼働を実現。電装部品の絶縁・抵抗検査、医療機材の画像検査、金属部品の切断など、インサート成形後のさまざま工程にもフレキシブルに対応し、現在では、多くのメーカーに採用されています。

インサート成形のロボット無人化システム